F.S.A.拳真館 倒せる空手の技術と立ち関節技
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 館長講話

〜 組 手 論 〜


 空手の稽古に組手試合は必要か?その答えは・・・必要です!
 しかし皆が試合に出場する必要はない!なぜなら試合形式の組手稽古を行えば良いわけで、大会に出場する必要はない!ということです。
 素手で相手に加撃する組手が現代社会で不可能である限り、ルールを取外した実戦の稽古といわれる当てない練習は実証不可能であり、結局試せないものです。上達することは、難しいというよりは、うまくなるかも全く保証のないわけで、強くなると信じて十年稽古して全く強くならなかったら-実戦で通用しなかったら-それは明らかに詐欺です。
試合形式の組手には当然ルールが存在します。フルコンタクト空手ルール(いわゆる極真ルール)は、そこに顔があるのに叩いてはいけないというルール。そのルールの実戦性を論ずる人はいますが、この制限されたルール内で相手を倒そうとすると突き、蹴りの技術が非常に高くなります。またパワーもつくようになり心肺機能もアップします。このルールのほとんどの全日本クラスの選手はオリンピック選手並のアスリートです。そうなるのもルールに勝つことを根ざした稽古法のお陰です。
 そこで試合に出たくない人は技術(スキル)だけ繰返し稽古すれば良いでしょう。テクニックはどんどん日増しに上達していき、スピードもつくでしょう。その技術の反復練習をする体力さえあれば充分実戦で使えるのです。 つまり、「護身術もっとやれば格闘技になる」でなければならないのです。ただその体系が出来上げっている所が少ないようですが…
 顔面を殴り合う格闘技K-1でも半分はこのルール出身の人達で構成されていますし、チャンピオンにもなっています。これを始めた団体もフルコンタクトルール出身です。グローブで顔を叩くことは脳に対してとても怖いことなので専門家に任せるとして、アマチュアは顔面パンチなしルールで安全にどんどん強くなれば良いわけです。(私はグローブルールで練習することには大賛成です。但し軽く当てること) この顔面パンチなしルールで試合形式の組手の稽古をすることをちょっとハードだと思う人もいるようですが、手、足、膝にプロテクターをつけて行えば誰でも安全に出来るし、このルールで稽古している人としていない人では、例えれば東京で車を運転している人と北海道や千葉で車を運転している人と同じくらい差が出るのです。
 東京は日本一車の数が多いところですが、車の死亡事故者数は日本一ではありません。以外にも道幅が広くて車の数の少ない北海道や千葉のほうが年間死亡者数で上回っています。 これは何を表しているのでしょうか? それは、東京は車の数がやたらに多いのでとても危険そうに思えますが東京の人は皆この環境の中で運転せざるを得ない為、三年も乗ればとても運転がうまくなります。これは道路のすいている地方の比ではありません。混雑した都会で車を運転することのほうが一見、非常に危険に見えますが、毎日スピードを出した車やオートバイにまき込まれないようにかわしたり、大型トラックや狭い道路で自分の車をキズ付けないように走ることで運転テクニックが高度に磨かれます。
 空手に置換えれば組手によってスピードのある突きやパワーのある蹴りが毎日ビュンビュン飛んでくる稽古をしていると、つまり車の運転と同じで、当ったら大変なケガをすることを想像でなく実体験として行うことによって技術が非常に向上するわけです。当てたと想定して行う稽古だけしかしないで、強くなったと思っているのは、車の少ない道幅の広い道路をサーキット気取りでスピードを出して走ったり、レーサーにでもなったかのように勘違いをしているのと同じです。
* このルールによる試合形式の組手がとても有効な稽古法だということがおわかりいただけたと思います。 *
 以外に当てる稽古をしている人よりも当てない稽古をしている人のほうが大怪我になることが多いようです。やはりスピードやパワーのある突き、蹴りを受けることが日常的であったり、相手のガードを開けさせる計算されたコンビネーションを普段から見なれていると1対1であればまずケガにつながるようなダメージはもらわなくなります。ドライバーで言えば都会で乗る人のほうが運転技術が高くなるのと同じだということです。
 もう少し私達の空手を理解していただくために技術論を致します。
 新入門者で良く耳にすることですが、伝統空手系から来た人は、「こんなにも同じ空手で違うものなのか」と言う人が多く、同じフルコンタクト空手系から移籍して来た人のほとんどが、「こんなに理論的にフルコンの技術を教われたら誰でも強くなっちゃいますね」と言います。
 私達も始めは「試合でなく理論と道場稽古だけで強くなるんだぞ」と言っていましたが、そんなことを言っても誰も聞いてくれません。だから試合へ出て証明することを選びました。そして試合で勝っていくうちに私達の理論を聞いてくれる人達も増えましたが、試合をやっていく過程で理論も新たな発見をし、新展開していきました。  ある格闘技ビデオ専門家が我々を見て「拳真館というのはひとつの実験室みたいですね」と、言っていました。まさしくその人の言う様に私達はいろいろなことを試すうちに本当にいろいろな発見をしました。
 人間を倒すことと試し割りは違うことを証明する為に試し割りも行いました。
200kgの氷柱割り、ブロック割り、バット折り、板、瓦割り、すべて成功しました。 そしてまたここで新たな発見がありました。「物体の割り方と人間の倒し方は違うよ」と言いながら試し割りの持つ大きな効用も見出しました。
 人間は弱い存在です。安きに流れやすいものです。自分では気がつかないうちに楽なほうへ楽なほうへと向っていくものです。日々これ修業と心得、さまざまな視点から捉えそして実践していくことが必要であると思います。
 かの拳聖澤井健一先生の「速い突き、強力な蹴りを知らぬ者、それは武では無い!そういう人間は今にとんでもない目に合う」と言われた言葉が今にも思い起されます。


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